飛行機の室内は三密っぽいけど、二密だったという話。

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Chaofan Wu, Noor A. Ahmed, “A novel mode of air supply for aircraft cabin ventilation”, Building and Environment 56 (2012) 47-56 より

はじめに

コロナ騒ぎで、「3密」を避けるよう呼びかけられております。

その中で、

「飛行機の中って密閉空間だし乾燥してるし、菌やばそうだけど、実際どうなの?」

って聞かれたので、それについて調べてみました。

 

結論から申しますと、

「密室」は避けられているけど、「密接」「密集」は避けられていない

です。

 

ANAのHP

ANAのHPには下記のような記載があります。

航空機内の空気は、概ね2分から3分ですべて新しい空気に入れ替えています。
常に外気を取り入れると同時に、機内の空気を高性能微粒子フィルター(HEPAフィルター*1)を通して循環させています。

機内の空気循環について | ANAグループについて |ANAグループ企業情報

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まず、エンジンで熱せられた高温高圧の空気を使って温度を調整し、それを

天井についているエアコンから室内に入れます。

その後、空気が座席の下にある排気口から出て、室外に放出されています。

室内に入る前に、HEPAフィルターと呼ばれる高性能なフィルターを通しているため、菌やウイルスはそこで除去されるとのことでした。

 

だから、室内の空気は清潔だということです。

 

 

これで終わりでは寂しいです。

自分なりにもう少し調べてみました。

 

全体的な飛行機の傾向

飛行機内の空気の循環について調べている論文を発見しました。

空気の循環方法についてもう少し調べてみます。

 

参考にしたのは、以下の論文です。

 Chaofan Wu, Noor A. Ahmed, “A novel mode of air supply for aircraft cabin ventilation”, Building and Environment 56 (2012) 47-56

http://dx.doi.org/10.1016/j.buildenv.2012.02.025

 

やはり、ANAのHPの通りで、

室内の温度や圧力、清潔さをコントロールするため、

エンジンから圧縮された空気が供給され、冷やされ、フィルターにかけ、オゾンを取り除くのが、一般的のようです。

 

しかし、その供給する空気の割合や温度というのは、クルマと同じで限界があります。

ある席の人が快適に過ごせるようにすると、その隣の人が快適ではなくなる可能性も大いにありえます。

供給する場所、流れの割合、温度、乗客の混み具合など状況によって、

温度や圧力、清潔さ(換気度合い)は大きく異なります。

 

つまり、そういったコントロールは、もちろん完璧ではなく、

ANAのHPに記載があるような、空気が2~3分で全部入れ替わるかどうかというのは、

乗客の状況やフライト状況によっても、未知数です。

 

 

屁理屈みたいになってしまいました。すいません。

まあとにかく、

 

三密の一つ、「密室」は避けられていそうということはわかりました。

 

 

清潔かどうか問題

換気はされているけど、清潔なの?っていう問題。

エンジンから来る空気だし、大丈夫なの?という。

 

そこに関わってくるのは、フィルターだと思います。

このHEPAフィルターは確かに性能が良いみたいです。ちゃんと除去します。

 

ということは、

部屋の窓を開けて外の空気をそのまま部屋に取り込みながら換気しているオフィスの一室よりも、

フィルターにかけて室内に空気を入れている飛行機内の空気の方がきれい

という可能性は大いにありえます。

 

 

ただ、一つ考えられるのは、

本当にそのフィルターを信用して良いんですか?

ということ。

(まあ、こんなこと言ったらきりが無いんですが。。。)

 

 

使われているHEPAフィルターの性能は一定の基準があります。

この性能を検査する試験というのは、クルマの燃費を検査する試験のようなものです。

つまり、「こういう状況を仮定して、こういう時に、こういう風に動かすと、どれくらいの性能を示す」といった、特定の状況の性能です。

クルマの燃費で、カタログ値出せますか?無理ですよね。

そういうことです。

 

 

加えて、劣化もします。

性能はどんどん落ちていきます。

 

果たして、どれくらいの頻度で交換されているんでしょうかね?

 

フィルターなので、使い方によって大きく劣化速度が変わることも考えられます。

まだきれいか汚いかわからないようなフィルターを、そんなに頻繁に替えられるんでしょうか?

コストの問題がおおきいですねえ。

 

何十年も使われているフィルターだったりして、、、 

こういうところでも、LCCと大手航空会社の違いがあったりして、、、

 

こうやって考えていくと、見えない要素がお金に関わっているのかもしれませんね。

 

密接と密集

話を戻すと、

「密接」と「密集」に関しては、言うことないと思います。

隣同士席近いし、トイレとか共有のものは多くあります。

その辺は、バイキンマンだらけですね。

 

まとめ

密室が避けられているので空気感染の可能性は低いかもしれません。

ただ、密接していて、密集しているので、飛沫感染接触感染は大いにありえます。

 

 

この暗いコロナの時期の一つの話題にしていただけたら、嬉しいです。

 

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